自称イスラム国の改称が進まない
NHKが「イスラム国」という呼称をイスラミックステート(IS)と改称した行動について、民放各社もこれにすぐに倣って続いてくれるものと思っていましたが、私が日頃目を通しているReuter日本語版を始め、多くの民間メディアは追随していないようです。
私(の母)が購読している毎日新聞は、『イスラム過激派組織「イスラム国」(Islamic state)』と詳しく記載して「国家」ではないということは判るようにしているようですが、このイスラム国という呼称のせいでイスラム教徒というだけでテロリストという誤解を受けている人々がいて、実際に誹謗中傷が行われ続けているという事実はあまり考慮されていないようです。
以前、台風報道で台風が近づいている際に港湾や河川近くにでて、強風で煽られる姿をさらすバカなパフォーマンス報道を見て、子供が真似したらどうするのかという記事を書いたことがありましたが、実際、その翌日に子供達が台風見物にいって増水した川に流されたというニュースがあり相当にやりきれなさを覚えたことがあります。
台風や地震の怖さを知らない子供達に「興味」を引くような報道を繰り返したことが、どういう事態を引き起こすのか、同様に、小学校から高校にかけて宗教教育がほとんど行われていない現状を鑑みず、「イスラム原理主義」や「イスラム国」という言葉のイメージがイスラム教をテロリズムと結びつけてしまう現状をどう見ているのか。
確かにイスラム教は改宗を認めていないので、イスラム教を国教としている国で改宗者を死刑に処すなど野蛮な行為が行われていたり、この10年以上テロといえばイスラム過激派が関与していることが多いので、今の若い人達にはイスラム=テロというイメージが定着しやすいのかもしれません。
しかし、私が学生の頃、40年くらい前までは、テロリストといえば、キリスト教右派か共産主義者を指していました。
言論の自由は否定しませんが、空爆は一般の戦争犠牲者を増加させていることを報道していた後藤さんの死を日本国内の宗教差別に結びつけさせないためにも、立場によって正義も悪も変わることがあることを、今の若い世代にも確実に伝えていけるような報道を心がけて欲しいものです。
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