haru_z1kのブログ

30年勤めた国家公務員を中途退職し、ボリビアで中山間地農業をやっていましたが、実家の事情で急きょ帰国しなければならない羽目に...。ボリビアには当分戻れそうにないので、これ以上ボケが進まないように、ニュースや生活の中から頭の体操をしていこうと考えています。

安保法案の強行採決を考える

今日、参議院で安保法案の強行採決が行われました。(9/18 9:45 すみません。Twitterで入ってきた誤報を元に記事を書いてしまいました。今NHK見たらまだ採決されていませんでした。ただ書きたかったことは、法案が通らなくても、そのままなので流して読んで頂けたら幸いです。)

60年、70年安保を新聞委員長を務めた高専時代に勉強した私にとっては、ものすごく複雑な気分です。

 

もともと本好きで数学や科学といった分野の勉強が好きだった私は、年平均で300冊もの本を図書館から借りて読んでいました。高専の図書館は一般の図書館にはおいていない専門書が多かったのですが、何故か戦争・紛争写真集も多く、私が小中学とのほほんと生きていた間に「ベトナム戦争」というのがあって多くの人が死んでいたという事実を知りました。そして、そんな大事な事実を小中学校の先生達は何故教えてくれなかったのだろうと憤りも感じました。

特に40年経った今でも鮮明に覚えているのが死んだベトナム人の肝臓をナイフで切り出して笑っている某国人(アメリカ人ではありません)兵士の写真です。若い女性を集団でレイプし、その後顔を打ち抜いて殺して笑っている数人の兵士という凄まじい写真もありました。ベトナム戦争時の写真集は数多くあったので、戦争がどれだけ非人道的なことか、老人、子供、妊婦が虐殺された現場をきちんと電子化して後世に伝えていって欲しいと思います。

 電子書籍ではありませんが、岩波から私が述べている写真を掲載した新書がでています。

カラー版 ベトナム 戦争と平和 (岩波新書 新赤版 (962))

カラー版 ベトナム 戦争と平和 (岩波新書 新赤版 (962))

 

 

私は学生時代、写真集や読んだ日本語の本で、ベトナム戦争はアメリカが引き起こした犯罪で、アメリカに不都合な戦争だったから、日本政府が国民に対して事実を深く知らしめていないという説を信じていました。当時はそれだけ反米感情を煽る本が多く出版されていました。今は客観的に見られる本が出ているので紹介します。

 

電子書籍で判りやすく解説しているのはやはり池上さんの本でしょう。 

 もう少し詳しい入門書として勧められるのが次の本です。残念ながら電子書籍版はありません。

 

Kindleをお持ちでプライム会員の方へのお勧めはこちらです。(注:英語です)

 

そして次に勉強したのが安保闘争です。

このブログで何度も紹介していますが、きっかけは「20歳の原点」という高野悦子さんの本です。

二十歳の原点

二十歳の原点

 

 

同世代の女の子が苦しみ抜いて死を選んだのは何故か、「ノンポリ」の見本のような私が民主青年同盟や全共闘といった学生運動に興味を持ったきっかけでした。

東大の安田講堂で学生が立てこもり刻んだ言葉

「連帯を求めて孤立を恐れず....」

私と同じように感じていた人のブログです。

banmakoto.air-nifty.com

そして、日米安保違憲だという確信と徴兵制が敷かれるという漠然とした危機感を持ちました。

それでも私は学生運動には参加しませんでしたが・・・。

もともとハイジャック等のテロ事件や浅間山荘事件などを通じて活動家は犯罪者というイメージを持っていた事に加えて、隣の山口大学から同志を集めに来ていた民主青年同盟の活動家学生に不信感を持ったからです。

具体的には説明が全然論理的で無かったのです。まだ、18歳であった私程度の論客を看破できないようでは情けない限りですが、高度経済成長だった当時、文系に進学する学生は理系の学生より遙かにデキが悪く仕方の無いことだったのかもしれません。(当時の大学進学は一般的に、理系に進学できない頭の悪い生徒が「遊びに行く」のが文系という認識でした。)

そして私は環境省(当時は環境庁)のレンジャーになりたくて国家公務員試験を受け、騙されて?農水省に入省しました。

 

そのおかげで随分と見方が変わってきます。

まず、情報リテラシーです。

どんな情報も必ずベクトルがかかっているので客観的な事実だけを取り出して分析しなければならないと気がつきました。

具体的には、朝日新聞の記者から取材を受け、こちらが回答した内容が180度変換されて記事にされる経験があるのです。基本的に報道機関からの質問の回答については、内容にもよりますが課や班の複数のプロで回答を検討しているので、一字一句の文言を含めた法解釈を間違えようがありませんし、私が居た班では、経緯は各人のメモで、相手との電話のやり取りは全て録音されていましたから、相手に誤解を与えるような回答はしていません。しかし、記事を読むと、「最初から新聞社が書きたかったように書いてある」のです。いちどならまだしも毎回こうだと、いくら人の良い?私でも気がつきます。

韓国がいう慰安婦問題にしても、1990年代に日本を訪れ大学等で講演した金さんは、ハッキリと親に売られたと証言していますし、私も当時その記事を読みました。それがいつしか強制連行されたという話にすり変わっていきました。それを根拠に強制連行が全く無かったという恥知らずな主張するつもりは全くありませんが、少なくとも彼女が国連で行った証言には、彼女の不幸な人生を食い物にした何者かによるベクトルがかかっていたのは間違いありません。

チェルノブイリスリーマイル島原発事故が発生したあとでも、日本政府(自民党原子力安全委員会)は「日本の原発は絶対安全」と言い続けていました。実際はどうだったか皆さんご存じの通りです。

 

では、日米安保問題における客観的な事実とは何でしょうか。

① まず、日米安保が締結されてから50年、日米安保が日本の平和と安全の一翼をになってきたのは間違いありません。当時の活動家が言っていたような他国への侵略とか徴兵制の復活ということはありませんでした。

② 徴兵制については、今回のデモに参加している多くの女性が懸念しているのを随分とテレビのニュースで見ました。意図的にテレビ局が流しているのかもしれませんが、法治国家である日本では、新たな法律を作らない限り憲法解釈の驚天動地的変更をしたとしても徴兵制を復活させることは不可能です。

③ 今回の法改正により、外国との戦争に積極的に参加するとか、巻き込まれるといった議論がされているようですが、現行のままでも、戦争に巻き込まれる可能性は十分にあります。北朝鮮が韓国に南下して戦争状態になったら沖縄の米軍は韓国救援のために向かいますが、それを阻止するために北朝鮮が「核」を沖縄に向けて発射する可能性は高いと思います。シリアの内戦やユーロ圏の難民問題を見てみても狂人的な独裁者が追いつめられたら何をするか、北朝鮮が既に核を持っていることを忘れてはならないと思います。

④ そういえば、今回の抗日70年記念にあわせて、情報統制が厳しい中国のサイトに、尖閣問題で日米が動こうとするなら数千発の大陸弾道ミサイルを日本の軍事基地に向けて発射してアメリカが参戦する前に日本を降伏させるというものがあったそうです。(私は中国語が分からないので「それらしい絵」しか確認していません。)

中国軍の軍備拡張の実態は不明ですが、このまま軍備拡張するなら実現不可能なことでは無いと考えます。

それに13億人の胃袋のことも考えておく必要があります。人は豊かになると穀物から肉へと食性が変化します。単純に窒素比で考えれば、6倍の食料が必要となるわけです。私は経済危機でなくとも中国という国家が非常に不安定な仮定のうえに成り立っていると考えています。

⑤ 特定機密の保護に関する法律が制定され、欧米に比較して遙かに情報公開が制限された国になってしまいました。何せ政府が特定機密だと指定すれば、永久に秘密にすることが可能なので、何十年経っても「事実」を得ることは不可能です。

⑥ 新国立競技場の建設問題に現れているように「自民党」にかつての利権政治が戻ってきているようです。

ちなみに今回の強行採決を非難している民主党が政権を担っていた時期、国会運営はほとんど強行採決でした。

民主党が政権を取った事は、私が公務員を辞めた一因なのですが、その理由のひとつが、彼らが明文化したマニフェストに記載している事項を全部実施すると日本が破滅すると確信していたからです。特別会計を含めて法律でがんじがらめにされた国家予算から数十兆円を絞り出すことは不可能ですし、そのうえで予算バラマキ型衆愚政治が実施されたらどうなるか、もともと老後は海外で過ごすつもりだったので少し先取りした訳です。もう一つの理由、民主党が公務員の2割削減をマニフェストに記載しているのに、私の所属させられていた労働組合(全農林)が民主党を支持していて「絶対に大丈夫だから投票してくれ」と言ったことです。確かメーデーの打ち上げで酒を飲んだ席だったので組合役員もうっかり口を滑らしてしまったのでしょうが、このとき民主党と組合で裏取引があったと確信しました。(T君まだ公務員やってんのかな?)

小沢一郎という豪腕議員がいて、マニフェストの殆どが実行に移されなかった事実を考えると初めからやるつもりがなかったのだと今は理解していますが、明文化した約束でさえ端から守るつもりが無かった訳ですから政治家とはホント恐ろしい人達です。

 

結論です。

今回の安保法案が通ったからと言って、直ちに日本国民が戦争に巻き込まれる可能性は低いと思います。一部新聞や政治家はデモ参加者を批判しているようですが、きっかけはどうであれ、このことが発端で現在の日本の現状や将来を考えて行動する人が増えてくれるのではないでしょうか。

また、私はマレーシアのマハティール元首相をたいへん尊敬しているのですが、きちんと現実を見据えて将来の国家発展に繋げていける偉大な政治家が、今回の混乱の中から生まれ出ることを期待します。