マレーシア航空機撃墜について
3月のMH370の行方不明に続いて今度はウクライナ上空での撃墜事件が発生しました。いったいマレーシア航空で何が起こっているのだろうかと強く疑念に思ったので少し整理してみることにしました。
私がマレーシアに滞在していた頃、マレーシア航空はMAS (Malaysian Airline System)と呼ばれていて、マレーシア国民なら知らぬものはいないという状況でした。日本でもJALやANAを何というと質問する人は殆ど居ないでしょう。
それで、マレーシアに赴任した直後に知り合ったUNDP(国連開発計画)のS君からMASのAttendantを紹介されたとき、「MASとは何ですか」と聞いて彼女たちからひんしゅくを買ったのを覚えています。
当然、赴任国の状況については、赴任前に調査していたのですが、今のようにインターネットが普及していない時代でしたから、外務省、国会図書館、JICA、あとは観光ガイドで調べても、マレーシア航空に関する英語表記は次の2種類しかなかったからです。
Malayan Airways Limited (MAL) 注〜1965年
Malaysia-Singapore Airlines (MSA) 注〜1972年
(年は「今」自分がインターネットで調べたもので当時の紙の資料にはありません。)
自分たちの仕事に誇りを持ち、2012年も、何度目かのWorld's Best Cabin Crewに選ばれている。航空会社自体もFive Star Airlineに何度も選出されている。そんな航空会社が何故紛争地帯の上空を飛んでいたのでしょう。
特に3月に大きな事件を起こした後だけに、普通ならいつも以上に慎重になるべきではなかったのか?
高度6500メートルで飛行していたウクライナ軍の輸送機が撃墜されたというニュースを何故重要視しなかったのか?
いろいろ調べていると、
①当日、ユーロコントロール (EuroControl、European Organisation for the Safety of Air Navigation = ヨーロッパ航空航法安全機構のこと。)は、何ら規制をしていなかった。
②ウクライナ政府は当該空域について7月14日から高度32000feet(約9750メートル)以下では飛行しないよう警告していた。
③事件が起こるまでは一日約400便が当該空域を飛行していた。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140719/erp14071918510019-n1.htm
ことが分かりました。
断言はできませんが、ユーロコントロールは民間の会社で主に横ヨーロッパ航空交通管制が仕事であり、紛争地域上空の飛行規制を積極的に行うような組織ではないようです。加盟国であるウクライナまたは周辺国から積極的に働きかけないと事故が起こるまでは規制できなかったのではないでしょうか。
そして、ウクライナ政府が、6500メートルを飛行していた輸送機が撃墜されたのに、高度10000メートルなら安全とも受け取れるような情報を提供したのはどういう「根拠」があったのでしょうか。
マレーシア航空機が撃墜されたあとのウクライナ政府の情報提供(会話傍受を含めて)があまりにも早いと感じているのは私だけでしょうか。
冒頭、MASという言葉について情報不足から恥をかいたと書きましたが、インターネットを通して情報が溢れている現代では、きちんと情報を読み取ることの難しさを痛感します。
犠牲となった298名の皆様のご冥福を心からお祈りいたします。